【読者の工作体験コーナー】


このコーナーでは、読者様からの工作体験をお伝えして参ります。
今回は石井さんの「ナットバイスを工作する」です。

ナットバイスの工作(1)画像編


ナットバイスの工作(2)コメント編

 工作の興味からフライス盤やミニ旋盤を衝動的に購入してしまったが、さて何を作ろうかなってはたはた困ってしまった。とりあえず、工作の練習になればいいと思い、いろいろ考え、下記の条件に合うもの
まず、技術がいらないもの、材料が手軽に入るもの、現物あわせで何とかなるもの、出来上がった暁には、そこそこ利用できるものと上記の条件から以下のものを作ってみた。
私の仕事の関係から、電子関係の技術者にプレゼントしたところ、基板の部品の半田やリード線の仮押さえ等に、利用されているとの事。
これからも、面白いアイデアがあればチャレンジしたい。

使用材料:M−30のナット・12mm角の鉄棒・M10×35のキャップスクリュウ・M4×40のキャップスクリュウ

ナットバイスの工作(3)作図編






第1回目は、スチームさんの「パワーハックソーを自作する」(全8回4ヶ月連載)です。
*)この記事は、@nifty<DIYフォーラム>金属の専門館 からの転載です。



弓鋸盤の製作(8) モーターの取り付け、そして完成

 各パーツが出来上がったところで、組み立てる前に塗装をしました。  塗料はハンマートーン仕上げになるというアメリカ製のスプレー缶入りのものを使ってみましたが、落ち着いた色調に仕上がりました。  次はモータの取り付けです。キットの図面にはモーターに関する指示は一切ありませんがこのくらいのものでよかろうと、秋葉原で200Wの単相インダクションモーターを買ってきました。金8千8百円也。インダクションモーターって、大きさと重さの割には、意外に安いんですね。  弓鋸盤本体にはモーターの台座のようなものは一切ありませんので、不要になった古机の合板の天板を利用して二階建てのものを作り、下にモーター、上に弓鋸盤本体を載せてVベルトで接続しました。  総重量が20キログラムほどになったので、転がして運べるようにと、ゴム車輪のキャスターをつけたのですが、いざ運転してみると毎分190往復する弓鋸フレームの反動で全体がユサユサ揺れます。こりゃまずいと、クレーン車やハシゴ車みたいに、使用時には車輪を浮かせる仕掛けを追加しました。  さて、いよいよ試し斬り、いや違った、試し切りです。  スウェーデンのサンドヴイク製のインチ24山のバイメタル鋸刃をつけて、断面が16×36ミリのSSの角材を切ってみましたら12分ほどで切れました。 ただし、刃がややしなやかなせいか、横に逃げて切り口が垂直にならないようです。  NACHI製のインチ18山の刃を使って、 直径30ミリのSSの丸棒を切ってみたら16分ほどで切れました。この刃は、全体が硬いせいか、逃げにくくほぼ垂直に切れるようです。  どうも意外に時間がかかるという気がしますが、金属材料店にある大きなバンドソーでもザクザクスイスイ切れているわけではないので、まあこんなものかとも思います。  でも、スライドバーを手で押して鋸刃に力を加えると、切れる速さが目に見えて上がりますから、錘の取り付けなど改良の余地がいろいろありそうですが、とえあえずこれで完成とし、予定しているチューブベンダーなどの製作に移りたいと思います。(終り)

弓鋸盤の製作(7) 弓鋸フレーム

 弓鋸フレームの素材は、弓形と言うよりは、コの字を上下に伸ばしたような形の鋳物です。このフレームが鉄の平角材のガイドバーに添って往復運動をするのですが、そのバーがはまり込む溝を彫ることが加工の中心です。

 溝とは言ってもフレーム全長にわたるものではなく、フレームの両端にあるだけです。しかし、そのふたつの溝は同一直線上にピタッと乗っていなければならないのですから、一度のセッティングで通して彫りたいところですが、その間隔が載せて削る卓上旋盤の横送り台の可動距離よりも広いのです。ですから片方の溝を彫り終わったらフレームの位置をずらし、セッティングしなおしてもう片方の溝を彫ったので、その間に両溝の位置関係にずれを生じさせないようにすることにたいへん気をつかいました。

 溝幅は1インチなので、その直径の正面フライスのようなものがあればいいのでしょうが、そんなものは持っていませんから、バイスの溝彫りに活躍した12ミリの2枚刃エンドミルを使い、少しずつ溝幅を広げながら彫りあげました。

 さて、彫り上がったふたつの溝を貫き通してガイドバーがシックリとはまりこみ、滑り動くかどうかが問題です。固唾をのんで、と言うのはいささか大げさですが、そうっと通してみたところ、残念!ごくわずかではありますがつっかえます。やっぱり加工中に両溝の位置関係を狂わせてしまったかとがっかりしかかりましたが、ふと何気なくガイドバーを裏返して通してみると、つっかえかたが逆になるではないか!と言うことはガイドバーがわずかに曲がっているのだ。やれやれよかった、私の作業ミスではなかったようだ。

弓鋸盤の製作(6) バイスの製作

 弓鋸盤のバイスはヤンキーバイスと同じような形をしているのですが、正直なところ、最も加工困難なパーツではないかといささか恐れをなしているものです。

 外形は卓上旋盤のフライカッティングで削りましたが、問題は可動アゴの下端がはまって滑り動く、本体の溝をどうやって彫るかです。ドリルで穴をいくつも並べてあけ、それをつないで溝にするということも考えましたが、薄板ならともかく、厚さが2センチ以上ある鋳鉄材ではとてもうまくゆきそうもありません。そこでエンドミルを使うことにしました。

 参考書によると、溝彫りには2枚刃のエンドミルが適しているそうなので、溝幅の12ミリのエンドミルを買ってきました。

 この太さのエンドミルともなるとミニミーリング機では荷が重いので、卓上旋盤にコレットチャックで取り付けて使いました。

 はじめはおっかなびっくりでしたが,慣れると快調に削れます。ただし旋盤の横送り台に載せた被削材には自動送りをかけました。

 今回の弓鋸盤の製作では、切削の際の自動送りの威力をつくづく感じました。自動送りだと楽だということはもちろんですが、切込み量さえ適切ならば刃先を食い込ませる心配が無いことが何よりもありがたいのです。

 手動送りでは、一定のペースで送っているつもりでも、ついうっかり送りを速めてガツンと食いつかせてしまうことがよくあります。食いつかせると被削材の位置がずれたり、場合によっては刃先を欠いたり、とにかくロクなことはありませんから。

 バイスの可動アゴの加工の中心は、直方体の素材の下端の両側を切り落として凸形のホゾにし、このホゾが本体に彫った溝に固からず緩からずシックリとはまって滑り動くようにすることです。慎重にごくわずかずつエンドミルで削っては溝に合わせてみるということを繰り返して、ピッタリはまる幅に仕上げました。

弓鋸盤の製作(5) 本体側面の切削と軸穴あけ

本体の基準面としての脚の裏が削れましたので、次にそれと平行なバイス保持台面を削りました。

 その次は、弓鋸を駆動するプーリやスプロケットの軸受けの両端面の切削ですが、これらの面は基準面である脚の裏面に対して直交しているので、今までとは90度向きを変えて固定しなければなりません。

 そこでアングルプレートを使って、卓上旋盤の横送り台の上に本体を逆立ちさせたような位置に固定し、フライカッティングで削りました。

 固定する のには手こずりましたが、切削面積が狭いので短時間で削り終わりました。

 軸受け部の両端面が削れたところで、続いて径12ミリの軸穴をあけます。軸穴はリーマ仕上げなのですが、ここで少々困りました。と言うのは、今まで のこのくらいの太さのリーマ仕上げ(例えば車輪の軸穴)では、旋盤で所定の径近くまで中グリしたものをゆっくり回してリーマを通したのですが、弓鋸 盤の本体はへんなかっこうをしているので、軸穴と旋盤の主軸との心合わせが出来そうもありません。仕方がないのでボール盤を使うことにしましたが、 ボール盤ではあまり回転数を落とせないことが気がかりなのです。

 しかし、案ずるより産むが易し、ボール盤での12ミリのリーマ通しはあっさり終了しました。

 シロウト考えでは、鋳鉄という素材は、極端に言うとお菓子の落雁みたいに、脆くてザクザク削れるからではないか、これが軟鋼材ではこうはいかない のではないかと思うのですが、いかがなもんでしょう。 ( 続く)

弓鋸盤の製作(4)面板でフライカッティング

 弓鋸盤本体の鋳物素材をなんとか卓上旋盤の横送り台の上に取り付けたので、次 はそれを何を使って削るかです。

 直径9インチの面板のスリットに、短く切った鉄の丸棒材を面板に垂直に取り付 け、その先にハイスバイトをつけて、フライカッターとしました。
 大きな面板を使ったのは、20センチ離れている二つの面を削るために刃先の回 転半径を大きくしたいのと、重い面板にフライホイールのはたらきをさせて間欠切 削の衝撃を吸収させようと考えたからです。

 バイトは、ボーリングヘッドについてきた、直径8ミリの完成バイトを研いで作 りました。刃先の形はミニミーリング機の付属品のフライカッターのものを真似ま したが、結果としてあまりよい切れ味ではありませんでした。

 この面板利用のフライカッターを毎分77回転でゆっくり回し、横送り台をおっ かなびっくりそっと送って切削開始です。

 被削材は、合板を下に敷いて固定してあるので、ゴリンゴリンと刃先が当たるた びに少々揺れますが気にしない事にします。
 それよりもビビリが発生していることが気になるので、途中で何回も刃先を研ぎ 直したりしましたが、ビビリは止まりませんでした(ビビリ問題はその後別のバイ トを使う事で解消しました)。

 何とか削り終わったところに届いた「モデルエンジニア」誌に、たいへん参考に なる記事が載っていました。

 それはスチュアート社の蒸気ハンマー模型の製作記で、支柱の鋳物素材を私と同 じように横送り台に載せてフライカッターで削っています。そのフライカッターに 面板を利用しているところは私と同じですが、バイトの保持方法が違っています。 私の方法は、面板の片方の端にバイト保持棒を取り付けてあるので、バランスを取 るために反対側にも何か取り付ける必要があります。記事の方法は、面板の直径方 向に取り付けた長い鉄角材の端にバイトがつけてあるのです。つまり、初めからバ イト保持材のバランスがとれており、バイトそのものの質量は小さいので、改めて バランスウエイトを加える必要はないのです。次からこれを真似る事にします。  それとバイトの刃先が剣先形なのです。私のは片刃形です。これも真似すること にしよう。(続く)

弓鋸盤の製作(3)まずは基準面を・・・

 以前、ミニミーリング機の改良工作で鋳鉄材の加工をしたとき、鋳鉄材の加工し やすさが気に入り、他にも何か作ってみようかしらなどと考えました(この会議室の #1036)。それが今回思いがけず叶うことになりました。

 しかし、前回扱った鋳鉄は大きなブロックから切り出したものなので、ほぼ正確 な直方体になっており、鋳型に触れていたザラザラの急冷面もありませんでしたから 加工も楽だったのです。ところが今度のものは、とくに弓鋸盤本体の鋳物素材は、 なんと言ったらいいか、尻尾の無い痩せこけた恐竜のミイラみたいな格好をしている ので、一体どこから手を着ければいいものやら途方に暮れます。

 とにかくまずどこかに基準面を削り出すことが必要です。そこで、本体から前後に2 本出ている脚部の床に接する二つの面を基準面とすることにしました。  その2面を基準面とするからには2面が同一平面になるように、1回の段取りで一度 に削りたいのですが、2本の脚は20センチほど離れているので、XYテーブルの横移 動量が18センチしかない我が家のミニ・ミーリング機では加工できそうもありません (後になってから、ミーリング機のヘッド全体を左右に振らせれば加工可能であることに 気がつきました)。
 そこで、卓上旋盤の横送り台に載せて主軸につけたフライカッターで削ることにしま した。横送り台の移動量も16センチしかないのですが、ミニ・ミーリング機と違って 刃先の回転半径の大きなフライカッターが使えるので、刃先が手前に回ってきたときに こちらがわの脚を下向きに削り、刃先が向こう側にいったときにあちら側の脚を上向き に削らせようと考えました。

 次なる問題は、恐竜のミイラ的形態の鋳物素材の横送り台への固定方法です。
 補強のために側面に張り出しているリブの高さが揃っているようなので、これを基準 に横倒しにして載せる事にしました。ただし、揃っているとはいっても鋳物なので表面 がザラザラですし、バイスの受け台やプーリーの軸受けなどが出っ張っているので、 そのまま横送り台に載せるわけにはいきません。それらの出っ張りをよけ、固定の基準 にするリブの高さの不揃いや表面のざらつきを吸収するために、厚さ25ミリの合板を 間に挟み込む事にしました。

 固定できたところでフライカッターをどうするかです。(続く)

弓鋸盤の製作(2)届いたキットは・・・

 注文書を送ってから3週間ほどして、ずしりと重い荷物が届きました。
 注文品の荷ほどきには胸踊るものがあります。  

 まず出てきたのはB1判の大きな原寸図が3枚とパーツリストです。
 その下に詰まっている発泡スチロールフレークの中をかき回すと、異形の 鋳物部品が出てきました。本体らしいのですが、ん?!、やっぱりそうだったか! 見積書にハックソーキャスティングス、マテリアルス、エトセトラとあったので あるいはと思ってはいたのですが、半完成品などではなく全くの素材キットでし た。鋳鉄の材料は、鋳バリを大まかに削り落としてあるだけで、持ち上げると鋳型の 砂がパラパラ落ちてくる有り様で、棒材や板材などもおおよその大きさに切って あるだけです。
 プーリーとスプロケットは完成品でしたが、これとても軸穴の拡大加工が 必要なのです。

 カタログにはモーターさえ付け加えれば完成すると書いてあり、たしかに 送られてきたものにはモーター以外の材料はすべて揃っています。
 しかし、そもそもそれ以前に、それ相応の工作機械の所有とそれを使いこなす技量の 保有という暗黙の前提条件があったのでした。  いやぁイギリスのアマチュア工作界はハイレベルですねぇ。

 そういえば以前、乗用のボギー台車キットを買ったときもそうでした。
 未加工の鋳物素材がゴロゴロ出てきて大いに面食らいました。(そのキットは車輪 だけは旋削加工が済みましたが、台枠を切削しかねて頓挫しています(^^;)

添付の図面は純然たる図面で、製作法に類することは片言隻句たりとも書いてあ りません。しかしここでめげてはニッポンDIYerの沽券にかかわる。頑張ろう じゃないか(^^;;;)。

 その後、たいしたことではありませんが、入院することになりましたので、図面を 病室に持ち込み、暇に任せて繰り返し眺め、加工手順をあれこれ考えながら退院の日を 待ちました。(続く)


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